病院情報の公表

令和5年度 函館脳神経外科 病院情報の公表

病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

医療の質指標

  1. リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
  2. 血液培養2セット実施率
  3. 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 - - 18 32 80 187 290 588 559 190
令和5年度に当院を退院された患者さんを年代別に集計しています。(年齢は入院時の年齢)
※「-」は10症例未満

当院は急性期の病床を有し、24時間365日の救急対応を行っています。
脳疾患の専門病院として、函館市内だけでなく、渡島・檜山地方をはじめとした広い地域から患者さんを受け入れています。
脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)は、高齢の方に発症することが多く、日本人の死因で第4位を占める病気です。
高血圧、糖尿病、脂質異常症、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病が危険因子となることから、60歳以上の高齢者で脳卒中の発生率が高くなります。
当院でも60歳以上の割合が、全体の80%を占めています。年代別では70歳代が約30%と最も多く、次に80歳代、60歳代と続いています。
近年では50歳代の発症も少なからず見受けられます。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060x2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 発症前Rankin Scale 0、1又は2 153 25.29 15.70 5.88 70.69
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 その他の手術あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 112 14.48 9.88 10.71 78.64
010060x2990411 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 1あり 発症前Rankin Scale 0、1又は2 90 24.31 17.39 5.56 76.78
030400xx99xxxx 前庭機能障害 手術なし 88 4.02 4.73 1.14 75.90
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 86 13.59 8.38 8.14 75.35
脳神経外科の入院患者さんを疾患別に集計し、上位5つを挙げています。

当院では、脳卒中をはじめ、頭部外傷、脳腫瘍、脳動脈瘤など、さまざまな脳の疾患に対して幅広く診断、治療を行っています。
その中でも、脳梗塞は最も症例数が多く、病態に応じて内科的治療、脳血管内治療、外科的治療を患者さんの病態、背景に応じ組み合わせて治療を行っています。
さらに、早期からのリハビリテーションを実施し、日曜祝日も休むことなく365日のリハビリテーションを行っています。
また、頭痛やめまいの検査で偶然未破裂脳動脈瘤が発見されることもあります。その場合には必要に応じカテーテルを用いた脳血管撮影検査をして治療適応を決定しています。
開頭手術で治療させて頂く場合もありますが、できる限り、患者さんにとって身体的に負担の少ない脳血管内治療(コイル塞栓術やフローダイバーター手術など)を行う方針にしています。
平均在院日数が全国平均より長くなっていますが、当院は脳神経外科の専門病院であるため、重症度の高い患者さんを多く診ている影響だと考えられます。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 - - - - - -
大腸癌 - - - - - -
乳癌 - - - - - -
肺癌 - - - - - -
肝癌 - - - - - -
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
5大癌と呼ばれる胃癌・大腸癌・乳癌・肺癌・肝癌の治療目的で入院された患者さんを集計しています。
※「-」は10症例未満

UICC TNM分類とは、国際対がん連合により定められた癌の進行度を分類する方法です。
当院は脳神経外科の患者さんを主に診療しているため、いずれも10症例未満でした。
当院での検査等で専門外の疾患が疑われた場合には、地域の専門医療機関を紹介しております。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 - - -
中等症 - - -
重症 - - -
超重症 - - -
不明 - - -
市中肺炎の治療目的で入院された患者さんを集計しています。
※「-」は10症例未満

市中肺炎とは、病院以外で日常生活をしていた方が肺炎になられた症例で、入院中に発症した肺炎は含まれておりません。
当院では、脳卒中の後遺症で通院されている患者さんが肺炎を併発して、入院治療が必要になるケースがあります。
また、そのような患者さんは筋力低下をともなう場合が多く、リハビリテーションが長期化するため在院日数が長くなっています。
今年度は中等症に分類される患者さんが5件、超重症に分類される患者さんが1件でした。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 612 34.60 78.07 14.01
その他 59 33.20 74.56 0.75
脳梗塞の治療目的に入院された患者さんについて、患者数・平均在院日数・平均年齢・転院率を集計しています。

脳梗塞とは脳の血管が詰まることにより、脳細胞が障害を受ける病気です。症状は、意識障害、四肢の麻痺、言語障害(呂律が回らない、言葉が出てこない)などが突然発生します。脳梗塞を起こして一定の時間以内に適切な治療を受けることが出来れば、後遺症が残らない可能性が高まるため、一刻も早く治療を受けることが重要な病気です。
当院は脳神経外科の救急病院に指定されており、24時間体制で患者さんの受け入れを行っています。脳梗塞の患者さんの約9割が発症3日以内に治療を受けています。患者さんの病状や脳梗塞の種類、発症からの時間などにあわせて、t-PA静注療法(血栓溶解療法)や脳内血管内治療(超急性期再開通療法)などの先進的な治療を取り入れ、迅速かつ高度な医療を提供しています。
また、入院当日より365日体制でのリハビリテーションを行っており、脳梗塞による後遺症や筋力・体力の低下を軽減できるよう努めています。
当院では、急性期より専門医をはじめ理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、薬剤師、管理栄養士、医療相談員などチーム一丸となって治療にあたっています。
2023年4月より回復期リハビリテーション病棟が新設され、急性期治療を終えた患者さんのリハビリテーションや退院支援について今まで以上に力を入れており、患者さん1人1人に向き合いご家族ともコミュニケーションを取りながら、ベストな退院支援をできるよう担当スタッフ一同日々努力を重ねています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 92 2.02 13.43 15.22 78.10
K1426 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。)(椎弓形成) 59 1.78 13.86 0.00 66.95
K178-4 経皮的脳血栓回収術 43 2.16 62.93 34.88 79.86
K080-42 関節鏡下肩腱板断裂手術(簡単なもの)(上腕二頭筋腱の固定を伴うもの) 39 1.00 13.23 58.97 69.69
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他のもの) 35 4.17 41.37 17.14 65.09
脳神経外科で実施した手術を集計し、上位5つを挙げています。

当院で最も多く行われた手術は慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術です。これは、頭部打撲後通常1~2ヶ月かけて脳と頭蓋骨の間に血腫が溜まることで、脳を圧迫し、頭痛、物忘れ、麻痺などが生じます。その溜まった血腫を取り除く手術です。
次いで、頚椎や腰椎の脊柱管狭窄症に対して神経の圧迫を取り除くために行う椎弓形成術が多くなっています。
そのほかに、くも膜下出血やその原因となる脳動脈瘤の破裂を防ぐため、脳動脈瘤の根本を遮断するクリッピング術も行っております。
また、動脈硬化により細くなってしまった頚動脈に対し、バルーンを用いて血管を広げ、さらに金属のステントを用いて拡張を維持し血流を改善されるステント留置術や、脳梗塞に対して、詰まってしまった動脈を開通させるために血栓を取り除く、経皮的脳血栓回収術などのカテーテルを用いた脳血管内治療も積極的に行っています。
他医療機関との連携も行っており、他院医師による整形外科の手術の受入も積極的に行っております。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 - -
異なる - -
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 - -
異なる - -
入院中に医療費を最も要した傷病名と入院の原因となった傷病名が同一か異なるかを集計しています。
※「-」は10症例未満

上記にある疾患は重症な感染症や手術による合併症としてみられるものです。
今年度は敗血症が原因で入院した症例が1件、手術・処置等の合併症が原因で入院した症例が6件でした。
手術・処置等の合併症には、慢性硬膜下血腫の再発や水頭症におけるシャントの機能不全(詰まり)、術後血腫などがあります。
手術・処置等においては合併症を起こさないよう細心の注意を払っておりますが、合併症が発生した場合には、迅速・適切に治療を行ってまいります。
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率ファイルをダウンロード
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが
「中」以上の手術を施行した
退院患者数(分母)
分母のうち、肺血栓塞栓症の
予防対策が実施された患者数(分子)
リスクレベルが「中」以上の手術を
施行した患者の肺血栓塞栓症の
予防対策の実施率
153 150 98.04
手術を受けた患者さんのうち、肺血栓塞栓症の予防対策をした方の割合を集計しています。

当院では手術を行う患者さんに肺血栓塞栓症の予防対策を実施しております。
肺血栓塞栓症とは肺動脈に血液の塊である血栓が詰まる病気で、エコノミークラス症候群としても知られています。
長い間一定の姿勢をとることにより下肢の静脈に形成された血栓が、肺まで運ばれることで肺血栓塞栓症を発症します。
発症すると突然の胸の痛み、息苦しさ、動悸、冷や汗などがみられ、血栓により血管が閉塞した範囲が広い場合、意識消失から最悪の場合は死に至ることもあるため、細心の注意を払っております。
血液培養2セット実施率ファイルをダウンロード
血液培養オーダー日数(分母) 血液培養オーダーが1日に
2件以上ある日数(分子)
血液培養2セット実施率
56 28 50.00
血液培養を行った患者さんのうち、2セット採取を実施した方の割合を算出しています。

血液培養は、本来無菌である患者さんの血液から病原体(細菌や真菌など)を検出・培養する検査です。
敗血症などの感染症の診断に用いられ、適切な治療方針の決定や感染源の特定に役立ちます。
血液培養には大きく分けて2種類あり、好気性菌を検出するための好気培養と嫌気性菌を検出するための嫌気培養があります。
血液培養は好気培養と嫌気培養の2つで1セットとされており、同時に2セット採取することで検査結果の精度が90%以上になると言われています。
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率ファイルをダウンロード
広域スペクトルの抗菌薬が
処方された退院患者数(分母)
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日
までの間に細菌培養同定検査が
実施された患者数(分子)
広域スペクトル抗菌薬使用時の
細菌培養実施率
84 45 53.57
広域スペクトル抗菌薬を使用した患者さんのうち、細菌培養を実施した方の割合を算出しています。

広域スペクトル抗菌薬は、多数の細菌を撃退するのに効果的な薬剤です。
広域スペクトル抗菌薬は細菌そのものは破壊しませんが、その代わりに細菌の成長と増殖を予防して細菌の個体数を消滅させます。
しかし、細菌の薬剤に対する耐性を発達させるという欠点があります。
そのため広域スペクトル抗菌薬を適正に使用するためには、細菌培養を行いどのような細菌が原因であるのかを調べることが重要であるとされています。
更新履歴
2024/10/1
初版作成